新刊『パワー・ハングリー 現実を直視してエネルギー問題を考える』が完成し、会社で読者モニターを募集中。だからここにも掲載しておきます(下記)。「現実主義」を強く志向してエネルギー問題を論じた本です。

いま日本では「反原発」や「自然エネルギー」推進論が高まっていますが、本書は太陽光発電や風力発電などグリーン・エネルギーの直面している難題や、増加の一途をたどるエネルギー消費の危機的状況を詳しく解説、現実解として天然ガスと原子力を重視する見方に立っています。そのため一部の方にとっては抵抗感を覚える記述もあるかと思いますが、実際にエネルギー問題は、どういう路線をとるにせよ様々な問題が絡んでくる本当に厄介な問題のようです。何事にもトレードオフがあり、精神だけでは乗り越えられない物質的問題もある。
原発は不安だとかメガソーラーは良さそうだと感じるのは自然なことだと思いますが、だからこそ、それは安易な希望的観測や非合理的な判断を招いたり、政治的に利用されたりする恐れもあるようにも思います。数年前のバイオエタノール騒動のように。開発援助の事例を引くまでもなく、正義感や良心から発した意見や行いが必ずしも良い結果を残さないことは往々にしてあります。一部の政治家など声を大にして発言している人々に、私はしばしばその実例を見る気がしています。
「人は自分の聞きたい声だけを聞き、それ以外には耳をふさいでしまう」(サイモン&ガーファンクル「ボクサー」)。おそらく、杜撰な管理をしていた電力会社や政府も、こうした状態に陥っていたのでしょう。私たち日本人はその痛い教訓から真に学ぶべきことを学べるでしょうか? ほんとうの意味で、メンタルモデル(思い込み)にとらわれず、現実を直視して粘り強く思考することができるかどうかが、問われているように思います。
本書はもともと米国向けの本でもあり、福島原発事故の前に書かれたものです。本書の主張をそのまま日本の状況に当てはめられるものではないでしょうし、そもそも、この問題に唯一絶対の解はないでしょう。むしろ本書は、これが絶対に正しいのだ、と確信してしまうことに警鐘を鳴らしています(「エネルギー問題に特効薬はない」)。不幸にして現在の政局に大きく左右されている問題ですが、本書が冷静な議論の一助となれば幸いです。
——–以下転載———-
原子力の是非ばかり問われている昨今のエネルギー議論。本書では、蒸気機関以来のエネルギー史を概観し、エネルギーをめぐる政治や社会、産業、個人の動向などを、「ビジネスと科学」の視点で論じています。エネルギーの未来を、地に足をつけて考えるうえで、おすすめの一冊です。読者モニターへのご応募、お待ちしております!
◆新刊発売のご案内◆
『パワー・ハングリー――現実を直視してエネルギー問題を考える』
ロバート・ブライス著 古舘恒介訳
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2112
【エネルギーの未来を、じっくり考えてみよう。】
『ウォールストリートジャーナル』『ワシントンポスト』など各紙誌絶賛!
極論や思い込みを退け、ビジネスと科学の視点で真実を探る
私たちの生活すべてに関わる「エネルギー」。原油価格の変動、グリーン・
エネルギーの流行、バイオエタノールをめぐる騒動、シェールガス革命、原
子力についての激論……状況の不確実性と深刻さが強まる今日、エネルギー
は私たち一人ひとりが考えるべき問題となっている。だが、あふれる情報の
なか、何を信じ、何を論じ、何を判断の拠り所とすればいいのだろう?
――こうした問題意識のもと、米国の気鋭のジャーナリストが「現実主義」
に徹してエネルギー問題を論じたのが本書『パワー・ハングリー』である。
極論や根拠なき楽観を退け、ごく普通の人々の視点を保ちつつエネルギー産
業の奥深くを探究した本書は、2010年4月に発売されるや『ウォールストリ
ートジャーナル』はじめ各紙誌で絶賛され、大きな反響を呼んできた。
なぜ人類は化石燃料に依存し続けるのか、グリーン・エネルギーの抱える問
題は何か、原子力は使い続けるべきなのか、エネルギーシフトは何をもたら
すのか。豊富なデータとわかりやすい物理的説明、ビジネスと経済の視点を
踏まえて問題の核心に迫る、知的興奮に満ちた一冊。真に私たちの未来を担
えるエネルギーは何なのか?
定価:本体2,200円+税 四六判ハードカバー 本文432ページ
ISBN978-4-86276-112-5 7月21日発売
★Twitter公式アカウントで一部内容を紹介しています!
http://twitter.com/powerhungryjp
[目次]
イントロダクション カーディナル炭鉱
第I部 パワーを求めて
1 エネルギーをめぐる初級講座
2 ハッピー・トーク
3 エネルギーとパワーの違い
4 薪から石炭へ、石炭から石油へ
5 石炭をめぐる見過ごせない事実
6 石油がないなら石油をつくれ
7 27個のサウジアラビア
第II部 グリーン・エネルギーの真実
8 パワー密度の壁
9 風力発電は二酸化炭素を減らすか
10 エネルギー先進国デンマークの実状
11 石油王ブーン・ピケンズの夢
12 風力発電は天然ガス需要を増やす
13 中国が支配するレアアース
14 米国のエネルギー効率は悪いのか
15 気候変動とエネルギー問題
16 炭素よりも重金属に要注意
17 貧困層に化石燃料を
18 役に立たないエタノール
19 電気自動車は普及するか
20 バイオマス発電の限界
第III部 現実的なエネルギー政策とは
21 なぜ今、N2Nなのか
22 ガスと規制の短い歴史
23 シェールガス革命
24 鉱業権の巨大な価値
25 天然ガスに伴う痛み
26 原子力を冷静に評価する
27 核廃棄物をどうするか
28 イノベーションへの期待
第IV部 未来に向かって
29 グリーン革命を問い直す
30 安くて豊富なエネルギーを求めて
[著者]
ロバート・ブライス(Robert Bryce)
米国のジャーナリスト。ニューヨークの政策シンクタンク、マンハッタン・
インスティチュートのシニアフェロー、エネルギー業界専門誌『エナジー・
トリビューン』主幹。資源・エネルギー問題をはじめ経済問題を専門とし、
『ニューヨークタイムズ』、『ワシントンポスト』、『USニューズ&ワール
ド・レポート』はじめ主要紙誌多数で活躍、CNNやBBCなどにも頻繁に出演。
この分野で最も影響力あるジャーナリストの一人と目されている。著書に
『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌2002年ベストブックに選ばれたPipe
Dreams: Greed, Ego, and the Death of Enron (2002)、Gusher of Lies:
The Dangerous Delusions of “Energy Independence” (2009)などがある。
[訳者]
古舘恒介(ふるたち・こうすけ)
1994年慶應義塾大学理工学部応用化学科卒。同年日本石油入社後、リテール
事業、イリノイ大学MBAプログラムへの留学(2001年卒)、LNG事業、総合
企画、内閣府への出向を経て、現在、JX Nippon Oil Exploration (U.S.A.)
Limited勤務。米国テキサス州ヒューストン在住。
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2011年 7月14日(木)23時59分
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